病気について

「春のにおい」を子どもたちへ。五感を守り、人生を彩るための花粉症ケア(アレルギー性鼻炎)

hoikuennursesakura

こんにちは。保育園看護師さくらのブログをご覧いただきありがとうございます。

このブログでは、保育園看護師のお仕事について、また子どもの病気のことなど子どもに関わる方に向けてお話させていただきたいと思っております。

 新しい年が始まり、子どもたちの元気な声が園舎に戻ってきました。

さて、1月といえば進級や新年度の準備が始まる時期ですが、私たち保育専門職がもう一つ備えておかなければならないのが『花粉の飛散』です。

まだ寒い日が続きますが、実はスギ花粉の飛散はすぐそこまで迫っています。

今月は、子どもたちの生活の質(QOL)を劇的に変える『花粉症ケア』について、改めて深く掘り下げてみたいと思います。

保育現場において、花粉症ケアは単なる「衛生管理」だけではありません。子どもの「発達支援」「情緒の安定」「健康な体づくり」に直結するものだと思います。

今回は、保育現場で私が感じていることや具体的なケアについて載せていきたいと思います。


1. 「低年齢化」の盲点:不快を不快と知らない子どもたち

 発症の低年齢化により「本人が不快感を自覚していないケース」があるということ。

① 「鼻詰まりが日常」という悲劇

 乳幼児期からアレルギー症状がある子は、生まれてから一度も「鼻がスッキリ通った状態」を経験していないことがあります。

その子たちにとって、鼻で息がしづらいこと、常に鼻水が垂れていることは「当たり前の日常」なのかもしれません。不快が日常化すると、子どもはそれを異常だと認識しません。

自分から「苦しい」と言わないからといって、決して「平気」なわけではないのです。

② 「快」の感覚を教えるのが私たちの仕事

私たちは、子どもに「鼻が通ると、こんなに気持ちがいいんだよ」「においが分かると、世界はこんなに楽しいんだよ」という健康な状態の基準(スタンダード)を教えてあげる必要があると思います。

鼻水を拭く、鼻水を吸う、鼻水をかむ、そして受診を促すという行為で、その子に「快」=「すっきりした」という感覚を感じてもらう。

そのようなことが私たちの大事な仕事なのかなと思います。


2. アレルギーが及ぼす「見えない」影響:メンタルと行動

花粉症の症状は、子どもの「性格や行動」にまで多大な影響を及ぼします。

  • 「落ち着きがない」の裏側: 鼻詰まりで脳が慢性的な軽度の酸欠状態になると、集中力が途切れ、不快感を紛らわせようと多動気味になることがあります。
  • 情緒の不安定さとイライラ: かゆみや不快感は、子どもにとって言語化できない大きなストレスです。些細なことでお友だちとトラブルになる原因が、実はアレルギーによる「神経の昂ぶり」であることは少なくありません。
  • 「サイレント・ストレス」: 食べるのが遅い、口に食べ物を入れたまま止まる、といった行動は「飲み込む瞬間に息が止まる苦しさ」を本能的に避けているサインかもしれません。

3. 医学的根拠:鼻水を「停滞」させてはいけない3つの理由

現場での鼻水ケアは根気のいる作業ですが、放置することのリスクを理解すれば、その一拭きの重みが変わります。

① 中耳炎と副鼻腔炎の防止

子どもの耳管(耳と鼻をつなぐ管)は大人より短く水平です。鼻水をそのままにしておくと、細菌やウィルスが簡単に耳へ流れ込み、中耳炎を発症するリスクが高まります。

また、鼻の奥に膿が溜まる副鼻腔炎(蓄膿症)への移行も防がなくてはなりません。

② 嗅覚が育む「脳の彩り」と情操教育

以前、「香水」という歌が流行りましたが、そこで町で昔の恋人と同じ香水を偶然かいだら、その時の記憶がよみがえってきたという曲だったと思いましたが、皆様もきっとそのような経験があるかと思います。😊

五感の中でも「嗅覚」は、記憶と感情を司る大脳辺縁系にダイレクトに届く唯一の感覚です。

幼少期に嗅いだ「雨上がりの土の匂い」「お給食の出汁の匂い」「おばあちゃん家の匂い」など。懐かしい匂いは一生の幸せな記憶のスイッチになります。

それに「嗅覚」は赤ちゃんのころが一番鋭く、その後徐々に衰えていく器官なのだそうです。

そんな敏感な時期に鼻を詰まらせたまま過ごさせることは、もったいない!!

たくさん色々な匂いを感じさせてあげたいですよね😊😊

③ 歯並び・顔貌への影響

鼻がつまっていると、どうしても口呼吸になってしまいます。

慢性的な口呼吸は、虫歯になりやすくなったり、上顎の発達を阻害し、歯並びの悪化や「アデノイド顔貌(面長な顔立ち)」を招きます。

成長期における「鼻呼吸の確保」は、将来の健康な骨格形成のための重要です。

また、口呼吸をしていると細菌やウィルスがダイレクトに肺に行きやすくなり、病気になりやすくなるリスクもありますよね。

そして、「いびき」も心配です。睡眠の質が悪くなり、悪循環が始まります😭


4. 現場での実践的「防御策」

集団生活の中で効率よく花粉を排除するための具体策です。

① 皮膚の洗浄

外遊び後の手洗いは一番重要ですが、特に花粉症の症状がある園児には、塗れタオルでお顔をやさしく拭いてあげるのもいいと思います。

顔に花粉がついていると、それに反応して肌があれたり、こすって目に入ったり、吸い込んだり…。

月齢が高いお子さんには、「お顔洗ってきてもいいよ」と声をかけてあげてもいいですね。

② 環境設定

湿度は40~60%。

窓を全開にする換気は避け、カーテンを閉めた状態で少しだけ開けるのがコツです。

また、子どもが登園して花粉が舞い上がる前に、床を「水拭き」するといいようです。

空気清浄機を置く場所は、窓から入ってきた花粉は、空気の通り道(窓の正面)と壁にたまりやすい性質があるため、換気する窓の向かい側の壁に置くと良いとされています。


5. 薬物療法への理解と保護者支援

保護者のなかには「長期間花粉症の薬を飲むことに不安」を持っている人もいます。

その気持ちに寄り添い、正しい知識を共有しましょう。

  • 依存性はない: 最新のアレルギー薬に「癖になる」ことはありません。むしろ症状が出る前から飲む「初期療法」の方が、シーズン全体の薬の量を抑えられます。
  • 副作用の改善: 現代の薬は「眠気」が出にくいよう改良されています。もし園で眠そうな子がいたら、薬のせいではなく「鼻詰まりで夜眠れていない」可能性を疑い、保護者に伝えるようにしています。

6. 根本治療「舌下免疫療法」への理解

 5歳前後から始められる「舌下免疫療法」は、アレルギーそのものを治す希望の治療です。3〜5年という長期戦になるため、園での「最近お鼻がスッキリしてきましたね」という前向きな言葉かけや「気にかけていますよといった態度」が保護者の継続のモチベーションを支えるかと思います。


7. まとめ:私たちの「鼻拭き」は未来への投資

保育の現場で一人ひとりの鼻を丁寧に拭くこと。それは単なる処置ではなく、以下の価値を持つ専門的ケアです。

  1. 中耳炎から守る「予防医療」
  2. 正常な骨格を育む「発育支援」
  3. 深い睡眠と集中力を守る「生活の質の向上」
  4. 豊かな嗅覚を育てる「情操教育」

「たかが花粉症、されど花粉症」。

鼻水という厚いベールの向こうに隠れてしまっている、その子が本来持っている好奇心や笑顔を引き出してあげれるよう、チーム一丸となって取り組んでいけるといいですね。

今回は「アレルギー性鼻炎」をあげましたが、「花粉症」といえば、「アレルギー性結膜炎」もですよね!

次回は目について載せていければと思っています。

そして、今年の花粉の飛散がひどくなりませんように🙇🙇

最後まで、お読みいただきありがとうございました。すこしでも役に立つことがありましたらうれしいです。


ABOUT ME
さくら
さくら
保育園看護師
保育園看護師のさくらです。保育園看護師として約20年勤務しています。保育園の保健について、また保育園での生活についてなど少しでも子供に関わっている方のための情報を発信したいと思っています。 とかっこいいことを言っていますが、自分の頭の中を整理するためというのもありましてブログを始めました💦 また、パソコンも苦手世代なので頭の中がパニックなりながら、必死にやっています。お見苦しい点もあるかと思いますがよろしくお願いします😓 プライベートでは孫にメロメロなおばあちゃんです。
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