園で取り組むアタマジラミ対策

こんにちは。保育園看護師さくらのブログをご覧いただきありがとうございます。
このブログでは、保育園看護師のお仕事について、また子どもの病気のことなど子どもに関わる方に向けてお話させていただきたいと思っております。
アタマジラミ、普段生活しているとあまり聞き覚えのない病気ですが、保育園で働いていると2,3年に1度、多い時は1年に2回くらいアタマジラミが寄生してしまう子がいます。
たまたま先生がその子の髪の毛を結んでいたときや美容院でカットしてもらったときに発見されたり…
シラミというとものすごい痒みがあるのではないかと思いがちですが、痒がる様子も訴えもなく、ほんとたまたま発見したということがよくあります。
アタマジラミとは
人に寄生する害虫で頭の皮膚から吸血して、かゆみや湿疹などを起こします。
アタマジラミの寿命は約1か月で、1日に3~9個一生で50~150個の卵を産みます。
熱に弱く、55度以上、5分で死滅します。
成虫は2~3㎜で羽がないので飛ぶことも跳ねることもできません。人から離れると吸血できないため7~72時間程度で餓死します。
アタマジラミから病気がうつることはありません。
卵は白く髪の毛にぴったりへばりついていて、一見フケにみえますがしごかないととれません。シラミの卵は約7~10日で孵化します。
通年生息しています。
アタマジラミになってしまった子に対して

- 毎日、大人が洗髪する。
- スキグシで大人が丁寧にとかし、卵や成虫を取り除く。
- シラミ駆除医薬品を使用する。
- 他の人にうつさないよう、寝具、タオル、衣服、帽子など専用にし共有しない、また使用したら消毒や洗濯をする。
- 可能であれば髪を短くする。
保育園でアタマジラミのお子さんが出た場合
園でアタマジラミの可能性がある子がでた場合
- 保護者に連絡し、本日中に皮膚科を受診していただくようお願いする。また、寝具や帽子など消毒洗濯してもらう。
- 他の子にも寄生していないかチェックをする。
- そのクラスの子は全員、帽子着用する。
子どもたちに「アタマジラミの可能性のある子」が特定されないよう十分に配慮して行う。
アタマジラミと確定した場合
アタマジラミが寄生した子に対して
- 毎日、大人が洗髪する。
- スキグシで大人が丁寧にとかし、卵や成虫を取り除く。
- シラミ駆除医薬品を使用する。(家族中に行ってもらう)
- 他の人にうつさないよう、寝具、タオル、衣服、帽子など専用にし共有しない、また使用したら熱湯消毒や洗濯をする。
- 可能であれば髪を短くするまたは、長い場合は結んでもらう。
- 園内では帽子を被る。ただしその子と特定されてしまうため全園児が被る。
- 完治したかどうかもう一度受診してもらう。
シラミ駆除剤は薬局で購入できます。主なものは「スミスリンシャンプー」があります。スミスリンシャンプーは3日に1度、3~4回繰り返します。スミスリンシャンプーは卵には効かないため、何回かにわけて行うため10~12日ほど駆除にかかります。ただし、スミスリンシャンプーが効かないアタマジラミもいるため、専用の目の細かいクシでとかすことが有効です。それでも駆除できない場合は医師に相談し適切な治療法や薬を処方していただくことが重要です。
園内での対策
- 全保護者に報告するがプライバシーはしっかり守ることが大切。アタマジラミに罹ってしまった子は加害者ではなく被害者だということをしっかり理解してもらう。以前、クラスのライングループでなにげなく「アタマジラミ」の話題になり、いたたまれなくなった保護者が「うちの子です」と告白してしまったそうです。そういうことを見越してこちらでももっときちんと配慮すればよかったと猛省しました😔
- 小規模園であれば、全園児帽子を被って過ごす。大きい園であれば、以上児のクラスでの発生なら、以上児全体で帽子を被る。
- 午睡時可能な限り子どもと子供の間を離す。
- 寝具や帽子など毎日持ち帰り、熱湯消毒洗濯してもらう。
- いつもより念入りに掃除機をし、園内清掃を徹底する。
- ぬいぐるみやカーペットなど熱湯消毒をする。できない場合は10日ほどビニール袋に密閉しておく。
- 保護者にむけてアタマジラミの対策についてお便りをだし、理解してもらう。お便りを渡すとき口頭でもお願いをする。(下記を参照)
- 保護者に他に感染者がいないか、終息に向かっているのか、終息したのかなど報告する。
お便り(例)
幼児クラスでアタマジラミに罹ったお子さまがいます。
★アタマジラミとは★
人間の頭部に寄生する虫で、人の頭皮から血を吸い、かゆみを伴うことがあります。季節や衛生状態に関係なく主に髪の毛の接触、タオルや帽子の貸し借りにより感染します。
★園の対策として★
幼児クラスのお子さまの感染防止とプライバシー保護のため、園内では一日中帽子を被って過ごすことといたしました。保護者の皆様やお子さまにご負担をおかけし申し訳ございませんがご理解のほどよろしくお願いいたします。
体操帽子は毎日持ち帰りますのでお洗濯をしてご持参ください。洗濯が間に合わない場合はご自宅にある帽子で代用していただけますようお願いいたします。帽子がない場合は園にご相談ください。
園の方では園内清掃の強化や午睡時はできる限り子ども同士の距離を離すなど対策を施してまいります。
〇ご家庭で下記についてお願いします。
- 毎日、お子さまの頭皮、髪の毛のご確認をお願いします。
- 幼虫、成虫を見つけるのは難しいため、卵があるか見てください。卵は一見、フケのょうに見えますが髪の毛にくっついてなかなか取れないのが特徴です。
- 保護者の方が毎日お子さまの髪をシャンプーしてください。
- 髪の長いお子さまは必ず結んでください。
〇アタマジラミに罹った場合
- 卵をみつけた場合は皮膚科に受診し早急に園にご連絡をお願いします。
- 登園後、卵を発見した場合はご連絡しますので、その日のうちに皮膚科に受診してください。
- アタマジラミと診断された場合は駆除剤による治療を開始してください。
- 駆除剤の治療は家族中で行ってください。
- 専用のくしで必ずブラッシングしてください。(卵や幼虫、成虫をとることができます)
- 髪を短く切ることも効果的です。
- 成虫、幼虫、卵とも55度以上、5分で死滅するため、寝具、帽子、洋服など熱湯洗濯、またはお湯につけてから洗濯することをお勧めします。
- 熱処理がしづらいものは、ビニール袋に10日ほど密閉しておくと、シラミは死滅します。
- 登園時、帽子や寝具は毎日持ち帰りますので、熱消毒と洗濯をしてください。
- アタマジラミの駆除剤が終了後、アタマジラミがいないことを確認後もう一度受診をし、治癒したことを医師にも確認してもらってください。
※お願い
アタマジラミに罹ってしまったお子さまも被害者です。園ではけっして特定されることのないよう十分配慮してまいります。日常生活でもなるべく普段通りの生活ができるよう心がけていきたいと思います。ご家庭、保護者間でも特定につながるような会話は慎んでいただきますようご理解のほどよろしくお願いいたします。
まとめ
1人アタマジラミのお子さんが見つかり、他のお子さんの髪をチェックすると数人アタマジラミの子が見つかるというパターンが多かったです。知らない間にじわじわ増えていくので、早く見つけるのが重要ですね。常日頃からなにげなく髪を掻いていたり、触っていたりしている子がいないかアンテナを張って見ている。
髪の毛を直してあげる時もその可能性を踏まえて直してあげることも大切だと痛感しています。
アタマジラミが見つかると園の大清掃が始まります。いい意味では大掃除になっていいのですが😅子ども同士の密着について注意をするのはかわいそうなので、全員帽子を被るという対策にしました。ただし、髪の毛を押し付けるような遊びはしないよう指導はしますが😓😓
おおごとにはなりますが、子どもたちの負担は最小限になるよう努めています。
対策はスピードが重要です!常に園の方でアタマジラミが発生した時の対策を確認しておくといいですね。
今回の例はほんと一例です。
帽子は被らなくてよい。専用のくしでとかせば駆除剤は必要ではないなど様々な考え方がありますので、園での対策を尊重していけばよいと思いますので参考程度にしていただけたらと思います。
参考:保育所・幼稚園・小学校の先生のための…アタマジラミ読本