子どもの目の発達。乳幼児期にできること。

保育園の看護師として、常に気にしてあげなくてはならないものとして「子どもの目」。
「目」って一般的には斜視、感染症、アレルギー、逆さまつげ、ものもらいなど色々ありますが、
まず、「ちゃんと見えているか」に厳選してみたいと思います。
先天性のもの。少しづつ見えなくなってきた場合は、子どもも「そんなもんだろ」と気にすることなく、こちらに訴えてくれることはありません。
また、片目だけ視力が悪い場合は、もう片方で補ってしまうため、見ることに苦を感じることもないようです。
また、今までの経験からも補ってしまうこともあるようです。
「目の見え方」に関しては、周りの大人の「気づき」がとても大切ってことですよね。
乳幼児に気にかけてあげなくてはならないもの、「弱視」って
「弱視」とは、眼鏡をかけても視力が十分ではない状態。一般的には眼鏡をかけても1.0以上にならないということです。
弱視には「医学的弱視」と「社会的弱視」があり「医学的弱視」は早期に発見・治療することで視力の改善が期待できます
「社会的弱視」は、医学的治療では視力の回復が望めないことがあるため、見る力を最大限に活かし、将来に備えて就学や生活ができるようロービジョンケアを行っていきます。
目の機能は10歳ごろには、ほぼ完成し、それまでの視力の発達が妨げられると弱視になってしまいます。この時期に治療すれば快方します。ですので、低年齢で見つけるのが大切!
3歳児検診で見つかることはとても多いです!
園でも家庭でも全く気付かなくて、3歳児検診で指摘され心底びっくりした経験が何度もあります😱
なので、最低限、3歳児検診は必ず受けてもらう。結果は小さなことでも園に伝えてもらう。
もちろん、普段の子どもの姿に気をつけることはもっとも重要ですけどね😊
医学的弱視とは
原因は 1、屈折異常(近視、遠視、乱視が原因)
2,不同げん視(屈折異常の左右差)
3,斜視
4,形態覚遮断(先天性白内障などの病気が原因)
一般的な近視、遠視、乱視の治療

近視の治療:凹レンズのめがねで矯正する。近視の進行を抑える点眼薬もあります。
遠視の治療:凸レンズの眼鏡で矯正する。遠視は遠くも近くもピントが合わないこと、遠視 があると、「内斜視」にもなりやすくなります。
乱視の治療:乱視用めがねで矯正する。乱視は光を屈折させる角膜や水晶体にゆがみがあることが原因でおこります。全体的にぼやけたり、二重にみえたりします。
斜視と治療
左右両方の目で見る機能が完成する機関に斜視があると、視覚機能の発達に影響します。
特に両眼視機能の発達に影響し、物が二重に見えたりするため、物が見えにくくなります。
治療はめがねや片眼遮閉、ほとんどは手術で目を動かす筋肉の位置を変えるなどの治療をします。
「スマホ内斜視」に注意!

スマホなどの小さい画面を長時間見ると、寄り目になって「内斜視」になるリスクが高まると言われている「スマホ内斜視」。
時間などのルールはきちんと決めて使わせることは大切ですね。
そして、アメリカで導入されているスマホやタブレット端末を見る時、「20-20-20ルール」とルールがあるそうです。
①画面を20分見続けたら
②20フィート先(約6メートル)を見る
③20秒間に見続ける
そうすることで、近くに集中していた目のピント調節機能を遠くを見ることでほぐします。
そして、
なるべく、小さい画面で見せるのではなく、テレビなどの大画面に映して見せるようにすることを心がけることも大切ですね。
画面から1メートル以上は距離をとる。椅子やクッションを置いて子どもに位置を知らせたり、タイマーなどをセットして時間になったら、やめることを約束させることも大切ですね。
社会的弱視とは
治療やめがねでの矯正では視力の回復が期待できないため、今、ある視覚機能を最大限に活かしながら、生活面や将来に向けてのケアを行います。
「見え方はひとそれぞれ」なため、その子に応じた配慮が必要です。
白い紙に黒い文字だと見づらい。人の顔が認識できない。視野が狭く横や後ろからくる人や車に気づきにくい。物との距離感がつかめない。色の見分けがつきにくい。など。
症状に適した工夫や配慮をし、生活しやすい環境を整えていきます。
こういう症状があったら、要注意!
- テレビや絵本に近づいてみる。
- 目を細めて見る。
- どちらか一方の目を隠すとすごく嫌がる
- 明るい戸外でまぶしがる
- 上目づかいに物を見る
- 目つきが悪い
- 目が寄っている
- 見る時に首を曲げたり、頭を傾けたりする
- よく物にぶつかる
- フラッシュをたいて写真をとると、片目だけ白く光る
- 眼振(目が小刻みに揺れる) など。
このような症状がある場合は眼科へ相談した方がいいですね。
目の健康を保つには

1,外遊びをたくさんする。
目安は1日2時間!連続でなくても大丈夫です。
①外の光が目に入ると、焦点深度(ものがはっきり見える範囲)が深まり、ものにピントが合いやすくなるため(近視の進行を抑制する)
②太陽光に含まれているバイオレットライトを浴びるとEGR1という遺伝子が増えます。この遺伝子が近視の進行を抑制すると言われています
③太陽光を浴びるとドーパミンをいう神経伝達物質がさかんに分泌されます。ドーパミンは軸軸長(眼球の長さ)が伸びるのを防ぐと言われています。
2,目を休ませる
近くの物を見たら、遠くの物を見て目を休ませる。
そして、特に夜は部屋を暗くし、「ブルーライト」を遮断して寝ること。ブルーライトが直接、目に悪いということではなく、夜、ブルーライトを浴びると脳が朝だと勘違いして眠気を誘うメラトニンというホルモンの分泌が抑えられてしまう。結果的に睡眠不足になり体調も悪くなるし、暗いところでスマホやテレビだけの光で見ていると目に負担もかかります。
3,画面と目の距離を保ちましょう。
スマホやタブレットなどを使用する際は目を30センチ以上離しましょう。
「20-20-20ルール」を実践する(スマホ内斜視と同様)
4,バランスのとれた食事
ビタミンAやルテインなどの栄養素を豊富に含む食事を心がけましょう。
5,少しでも、不安な点がある場合は眼科に受診しましょう。
また、家庭でも子どもの片目を隠すと嫌がったりしないか、また同じように見えているか試してみるのも大切ですね。
まとめ
乳幼児は目が急激に成長する時期。この時期をいかに目にとってよりよく成長させることができるか。また、目の成長にとって阻害するものを取り除いてあげるか。周りにいる私たち大人の責任はとても大きいと思います。
また、社会的弱視のお子さまにはこれから学校、社会で生き生きと過ごしていけるよう基礎をつくっていく大事な時間にもなります。
目の成長は家庭のあり方にも深く関わっていくため、家庭と連携しながら園側としても正しい知識を伝え、幼児に対しては自分の目の健康は自分で守れるよう指導もしていかなければならないと強く感じています。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。少しでも役にたつことがあればうれしいです。