保育園からの発熱コール!「すぐ病院?」「明日は登園?」迷えるママ・パパへ贈る受診のルールとホームケア
こんにちは!保育園看護師のさくらです。
保育園から「お熱があるのでお迎えをお願いします」という電話。あるいは、夜中にお子さんの体が熱くてびっくり!…子育て中なら、誰もが経験するドキッとする瞬間ですよね。
「早く熱を下げてあげなきゃ!」「すぐに病院へ行った方がいいの?」と焦ってしまうパパママも多いと思います。今回は、子どもの発熱時のホームケア、そして「保育園に通う子どもならではの受診の目安とルール」についてお話しします。
発熱=37.5℃以上の熱とします。
1. どうして熱が出るの?(発熱のメカニズム)

そもそも、なぜ熱が出るのでしょうか? それは、お子さんの体がウイルスや細菌と一生懸命戦っている証拠なのです。
体内にウイルスなどが入ってくると、脳が「体温を上げてウイルスをやっつけろ!」と指令を出します。ウイルスは熱に弱いので、体温を上げることで増殖を抑えようとしているのですね。 つまり、「発熱=体が頑張っているサイン(味方)」なのです。
2. 発熱時の看護のポイント
1.ちょっと待って!それ、本当に「発熱」ですか?
お子さんの体が熱いと感じた時、すぐに慌てる前にまず確認していただきたいことがあります。
実は、小さなお子さんは体温調節の機能がまだ未熟です。
そのため、「外の気温(暑さ)」「水分不足」、そして「お洋服の着せすぎ」に体温がとても影響されやすい特徴があります。
衣服の中で熱がこもってしまい、一時的に体温が高くなっているだけのことが意外と多いのです。
体が熱いなと思ったら、まずは次のことを試してみてください。
- 涼しいお部屋に移動する
- お洋服を1枚脱がせるなどして、熱を逃がす
- 麦茶やイオン飲料などで水分補給をする
この状態でしばらくゆっくり休ませてみてください。
それでもまだ熱が高い状態が続くようであれば、その時はじめて「発熱した」と判断しましょう。
2.脱水にならないように水分をしっかりとること

1.子どもは大人より なぜ「脱水」になりやすいのか
病院でも保育園でも「お熱の時は水分をとって、脱水に気をつけてくださいね」と必ず言われますよね。
そもそも、なぜ子どもの発熱ではこれほど「脱水」に気をつけなければならないのでしょうか。
それは、まず、子どもの体は大人よりも「お水」の割合が多いことです。 大人の体の水分量は約60%ですが、赤ちゃんや小さな子どもは約70〜80%が水分でできています。
体の中の水分が占める割合が大きい分、少し水分が減っただけでも、大人よりあっという間に体のバランスが崩れ、脱水症状になりやすいのです。
2. お熱の時、体の中は「大赤字」状態
お熱が出ている時、体の中の「水分のバランス(入ってくる量と、出ていく量)」は大きく崩れてしまいます。家計の「収入と支出」に例えると分かりやすいですよ。
- 出ていくお水がドーンと増える(支出の増加) 熱が出ると、体はウイルスや細菌と戦うためにものすごいエネルギーを使います。 「基礎代謝(生きるためのエネルギー)」がグンと上がり体中がフル稼働しているこの時、体内は大量の水分を必要とし、大量の水分が消費されます。 また、ハァハァという荒い呼吸や、皮膚から目に見えない水分がどんどん蒸発していきます。 ※さらに、下痢や嘔吐がある場合は大ピンチ! 呼吸や皮膚からだけでなく、胃腸からも大量の水分と塩分が一気に流れ出てしまうため、普段の何倍ものスピードで水分が失われてしまいます。
- 入ってくるお水がガクッと減る(収入の減少) 食欲がなくなり、のどの痛みやだるさで、飲み物を飲むことすら嫌がってしまいます。
「大量に出ていくのに、全然入ってこない」。このダブルパンチによって、体の中の水分貯金はあっという間に底をつき、脱水を引き起こしてしまうのです。
3. 「脱水」になると、なぜよくないの?
では、体の中の水分が足りなくなると、具体的に何がそんなに良くないのでしょうか。大きな理由は3つあります。

① ウイルスと戦う力が落ちる 私たちの血液の半分以上は水分でできています。水分が不足すると、サラサラだった血液が「ドロドロの渋滞した道路」のようになってしまいます。血液の中には、ウイルスをやっつける「白血球(戦う兵士)」が乗っていますが、ドロドロの道では戦場まで素早くたどり着けず、ウイルスとの戦いが長引いてしまいます。
② 体の「ゴミ」を外に出せなくなる ウイルスと激しく戦ったあとには、体の中にウイルスの死骸などの「ゴミ(老廃物)」がたくさん出ます。水分が足りないとおしっこが作れず、このゴミを体の外へ洗い流すことができません。体の中に老廃物が溜まったままになり、だるさや吐き気が続いて体力が回復しにくくなります。
③ 一番の理由!「熱を下げる」ことができなくなる 人間の体は、汗をかいてそれが乾く時の力(気化熱)を利用して、上がった体温を平熱に戻そうとします。しかし、脱水状態だと「汗の材料」がないため、うまく汗をかくことができません。その結果、ウイルスをやっつけ終わっても、体に熱がこもったまま外に逃がせなくなり、いつまでも熱が下がらない原因になってしまうのです。
4. 発熱のストーリー。最後は「お水」で回復する!
子どもの発熱には、次のような順番(ストーリー)があります。
- 熱を上げる(ブルブル寒気): ウイルスをやっつけるために、自ら設定温度を高くします。
- 戦う(お熱のピーク): 高い熱でウイルスの動きを止め、全身のエネルギーを使って激しく戦います。
- 熱を下げる(汗をかく): ウイルスに勝ったら、汗をかいて(気化熱を利用して)熱を外に捨て、体力を回復させます。
この激しい戦いを最後までやり遂げ、無事に「③ 熱を下げる」のゴールにたどり着くために、絶対に欠かせないのが「お水(水分)」なのです。
熱の上がり始めと、上がりきった後では、ケアの方法が違います。お子さんの様子をよく観察して対応してあげてくださいね。
- 熱の上がり始め(寒気・ブルブル震えている時)
- 手足が冷たく、顔色が青白い時は、これから熱が上がるサインです。
- ケア: 本人は寒気を感じているので、毛布をかけたり、服を一枚多く着せたりして温めてあげましょう。
- <注意>寒気などなく、急に熱が上がる場合もあります。
- 熱が上がりきった時(顔が赤く、汗をかいている時)
- 体中が熱くなり、汗をかき始めたら、熱が上がりきったサインです。
- ケア: 今度は体にこもった熱を逃がしてあげます。服を薄着にし、掛け布団も薄手のものに変えましょう。嫌がらなければ、脇の下や太ももの付け根などを冷やしてあげるのも効果的です。あくまでも、お子さんが「気持ちいい」程度に冷やしてあげることが大切です。
5. 上手な水分補給のコツは「少量ずつ、回数を多めに」

「じゃあ、たくさん飲ませなきゃ!」と、一度にゴクゴクと大量に飲ませるのはちょっと待ってください。
お熱の時は胃腸も弱っているため、一気に飲むと胃がびっくりして気持ち悪くなり、吐いてしまうことがあります。(吐くとさらに水分を失ってしまいます!)
上手な飲ませ方の合言葉は、「少量ずつ、回数を多めに」です。
コップ3分の1くらいなど、お子さんが無理なくコクリと飲める量を、こまめに飲ませてあげてください。

「テレビの番組が終わったら一口飲む」「お昼寝から起きたら飲む」「トイレに行ったら飲む」など、生活のペースに合わせて声をかけてあげると、お互いに無理なく続けられますよ。
※【注意】嘔吐を繰り返している時は特別です! 胃腸炎などで「飲んでもすぐに吐いてしまう」という時だけは、少しやり方を変えます。
胃を刺激しないように「スプーン1杯(またはペットボトルのキャップ1杯)のお水を、5分〜10分おきに飲ませる」という、さらに慎重なペースで進めてくださいね☺️
飲ませるものは、経口補水液(OS-1など)、りんごジュース、お味噌汁の上澄み、麦茶など、「お子さんが飲みたがるもの、一口でも飲めるもの」で全然オッケーです。塩分や糖分が少し入っているものだと、より体に吸収されやすいですよ。
3.子どものペースでゆったりと

熱を出している時は体の中はウイルスや細菌と戦う「緊急事態」です。
普段の「朝7時に起きて…」という規則正しいリズムはいったん忘れてしまいましょう。
眠たい時に寝かせて、食べられそうな時に一口食べる。
体力を温存するために、お子さんの体が求めるペースにすべて合わせてあげましょう。
寝たくない子に無理やり寝かせる必要もありません。静かに遊べるものを工夫してあげましょう。
動画を観るのもオッケーですが、スマホなどの小さい画面ではなく大きな画面で見せてあげる方がいいですね。
その間にお父さんもお母さんもゴロンとして体力を温存させましょう😅
4. 「解熱剤(お熱の薬)」は無理に使わなくてOK!使うベストなタイミングは?
お熱が高くなると、「早くお薬(座薬や飲み薬)で熱を下げてあげなきゃ!」と焦ってしまいますよね。でも、ちょっと待ってください。
先ほどお話ししたように、熱は「体がウイルスと戦っている大切なサイン」です。
むやみに解熱剤で熱を下げてしまうと、体力が消耗して、かえってウイルスとの戦いが長引いてしまうことがあります😔
【解熱剤を使わなくていいケース】 たとえ39度、40度の高熱があっても、「水分がとれている」「おもちゃで遊ぶなど、ある程度元気がある」「スヤスヤ眠れている」のであれば、解熱剤は使わなくてオッケーです。
そのまま戦わせてあげましょう。体温計の「数字の高さ」だけで慌てる必要はありません。
【解熱剤を使うベストなタイミング】 では、どんな時に使うのが正解なのでしょうか?
それは次のようなサインが見られた時です。
- のどが痛い、体がだるいなどで「水分が全く飲めない」時
- 熱さや関節の痛みで「泣いて眠れない、辛そうにしている」時
【解熱剤を使う目的は】 解熱剤は、病気そのものを治す薬ではありません。熱を一時的に下げて、「水分をとったり、少しご飯を食べたり、ぐっすり眠ったりするための『元気なチャンスタイム』を作ってあげること」が最大の目的なのです。
お薬を使って少し体が楽になっている間に、こまめに水分補給をしてあげてくださいね😊
その後、お薬の効果が切れて再びお熱が上がるのは「よくあること(戦いが再開したサイン)」なので、心配しないで大丈夫ですよ。
3. すぐに受診?様子を見る?(受診の目安)

熱が出た時、一番迷うのが「すぐに病院に行くべきか」ですよね。
結論から言うと、「熱の高さ」よりも「お子さんの全身の状態」や「熱以外の症状」を見て判断します。
【お家で様子を見てオッケーな場合】 水分(麦茶、イオン飲料など)がしっかりとれていて、おもちゃで遊ぶなど元気がある場合。
保育園に通っていないお子さんで、他に気になる症状がなければ、まずはお家で様子を見る対応で全然オッケーです。
【かかりつけ医を受診した方がいい目安(最初の受診)】 水分がとれていて元気そうに見えても、お熱に加えて次のような症状がある場合は受診をおすすめします。
- 咳をしている
- 嘔吐している(吐き気がある)または下痢をしている
- のどを痛がっている(ご飯や飲み物を飲み込みにくそうにしている)
- 機嫌が悪い、またはどこかを痛がっている
- 体に発疹(ブツブツ)が出ている
【急いで受診!または再度受診が必要なサイン】
- 水分が摂れずまたは嘔吐してしまい水分がとれていない、半日以上おしっこが出ていない
- ぐったりしていて、呼びかけても反応が鈍い
- けいれんを起こしている (このような時は、夜間や休日であっても、迷わずすぐに医療機関を受診してくださいね。)
- 丸3日間、発熱している
- 4か月以下の赤ちゃん
- どんどん症状が悪くなっている
4. 保育園に通っているお子さんの場合は「もしかしたら」がある

先ほど「元気で水分がとれていれば様子見でオッケー」とお伝えしました。でも、保育園に通っているお子さんの場合は、少し考え方が変わります。集団生活をしているからこその「万が一」があるからです。
よくあるのがこんなケースです。 「夕方にお熱が出たけれど、翌朝には平熱に下がった!」 お父さんお母さんは「あぁよかった、これで保育園に行ける」とホッとしますよね。
でも実は、熱が下がったからといってすぐに登園されてしまうと、園側としてはとっても不安になってしまいます。なぜなら、職員の脳裏には「もしかして何かの感染症かもしれない…」という思いがよぎるからです。
子どもの発熱のほとんどは心配のないただの風邪です。
でも中には、アデノウイルスや溶連菌、インフルエンザなどの感染症が隠れていることがあります。
熱以外の「咳、嘔吐、喉の痛み、発疹、機嫌が悪い」などは、まさにそのサインかもしれません。これらは受診すれば、医師の診断、「迅速検査」などで診断がつきます。
集団感染を防ぐためにも、「ただの風邪か、感染症か」をはっきりさせるための受診は、保育園の感染症予防対策にとても大切なのです。

お仕事、忙しい中受診ってほんと大変ですよね。私たちも十分わかっています。伝えるのもつらいです。でも、万が一ということがありますので協力してほしいです🙇♀️
病気の診断はお医者様しかできないです。保護者全員が園の子どもたちを守るという気持ちで。
5. 「解熱後24時間は家庭保育」をお願いする理由
保育園のルールで、「熱が下がってから24時間はご家庭で様子を見てくださいね」と言われたことはありませんか?
実はこれには、明確な理由があります。 子どもの発熱は、「夜に熱が出て、朝には下がり、夕方になってまた熱が上がる(再発熱)」ということが非常によくあるからです。
朝の時点でお熱がなくても、夕方にまた上がってしまうなら、それは「熱が下がった」のではなく「熱がまだ続いている状態」と判断します。
本当に熱が下がりきって、体力が回復したかどうかを見極めるためには、どうしても「丸1日(24時間)の平熱」を確認する必要があるのです。
6. 子ども同士の距離はとっても近い!だからこそパパママのご協力を

保育園での子どもたちの様子を見ていると、子どもと子どもの距離って、大人が思っている以上にとっても近いんです。
仲良く手をつないだり、お互いの体をピタッとくっつけて遊んだり。時には同じおもちゃを舐めてしまったり…。
そんなこんなで、大人の世界よりもはるかに感染しやすい環境にあります。
だからこそ、園内で感染症を大流行させないためには、保護者お一人おひとりの行いがとても重要になります。
「微熱だけど、万が一があるから受診しておこう」「夕方だけ熱があったけど、念のため一日家で様子を見よう」といったパパママの慎重なご判断が、園全体の子どもたちの健康を守ることに繋がっているのです。
まとめ
子どもの発熱は、成長の過程で避けては通れないものです。
- まずは慌てず、お子さんの「元気」と「水分」をチェック!
- 保育園に通っている場合は、感染症の可能性も考えてかかりつけ医を受診する。
- 熱が下がっても、24時間は「まだ熱が続いているかも」と用心してゆっくり休ませる。
お仕事を休む調整など、保護者の皆様は本当に大変だと思います。 この「しっかり休んで治しきる時間」が、結果的にお子さんの体を守り、他のお子さんをも守ることになります。そして元気に保育園に通い続けるための近道になります。ご家庭での温かいケアが、お子さんにとって一番のお薬。ゆっくり休ませてあげてくださいね。年齢が大きくなるにつれて熱も出さなくなりますからね。
最後までお読みいただきありがとうございます。

